約 301,175 件
https://w.atwiki.jp/otisaito/pages/66.html
「こっちだ」
https://w.atwiki.jp/dora-eroparo/pages/93.html
名無し[b0Mm4okP]さん 『第三話』 そっと、ひなを抱き上げる。 ひなの方も何をするのかはもう分かっているみたいだが、やはり少し緊張しているみたいだ。 一応『流感ビールス』で『ここで受ける痛みは大分和らぐ』といった風にしてあるけど…そりゃ怖いよね。 ひなのアソコは既にぐっしょりと濡れていた。俺のペニスを見たからか、それとも妄想でもしてたのか。 「いくぞ、力抜けよ」 優しく語りかけ、ゆっくりとひなの体を沈めて行く。 「ひゃぅぅっ……!」 …気持ちいいっ… 初めて体感したけど…これが女の子の膣… ひなの方も、気持ち良さそうに俺に体を預けている。 一気に押し進めたけど、道具の効果で痛みはさほどないみたいだ。 「大丈夫だよな?動くぞ」 そのまま腰を動かし始める。興奮して速く動かしすぎてしまった。 「ひゃんっ、あぁっ、ふぅんっ、きもちいいですっ…、ひゃぁんっ!」 が、それでもひなは嫌そうなどころか、いやらしい言葉を漏らして悶えている。 さらには自分からも腰を動かす始末だ。 少し動き続けてくると、流石にキツくなってきた。初めてだからかな…? 「んぅっ、んはぁっ、きゃふっ…!ご…しゅじんさまぁッ…、ひな…もうダメですぅっ…!」 ひなの方もそろそろ限界の様だ。 俺も、もう限界だな… 「んはぁっ、ひゃふぅんっ、ごしゅじんさまぁぁぁっ!!」 そして、ひなが俺に精一杯抱きついて絶頂した。 「くぅっ…!」 俺もひなの膣に精液を注ぎ込む。 「はぁ……はぁ……」 行為が終わった頃には二人ともぐったりとしていた。 初めての行為の後は動けなくなるとか聞いて事あるけど、本当だったんだな…… 目が覚めると、俺は『壁紙ハウス』の床に横たわっていた。 この床は『材質変換機』で柔らかくしてあるから痛くない。 俺の上には、ネコミミを垂らしたひなが可愛い吐息を立てて眠っている。 …やっちゃったよ… 童貞卒業しちまった… イヤッホォォォォォォォ!!! さて、いつまでも繋がっているわけにもいかないので 名残惜しいが息子をひなから引き抜く。どろり、と精液が垂れた。 妊娠の心配はなかろう。 実は何か物を入れると薬になる機械(何か忘れた)で『異説メンバークラブバッジ』 (『ふえるミラー』でふやしてある)で作ったもので、 妊娠の心配はないとか色々ふきこんでから飲んでおいたのだ。勿論ひなにも飲ましてある。 さて、服を着るか。食事は一日二回だが時間的には大丈夫だろう(多分)。 行為もアレ一回でいいハズだ。そう何回もやって体がイカれちゃったら困る。 現在の時刻を見る。5時前…すると三十分ぐらい寝ていたことになるのか。 …フフ、そうだ……この時間帯ならまだ部活をしているハズ! ちょっと悪い考えが俺の中でとぐろを巻いた。 あの女子中に再び侵入してペット弐号をゲットだ! でてこい、『どこでもドア』! …ちょっと罪悪感を覚えたのは余談。 第四~五話へ進む 第二話へ戻る 前に戻る
https://w.atwiki.jp/16seiten/pages/1068.html
デスメタルの心臓は、これまでにないほど早い鼓動を立てていた 十六聖天ほぼ全員が、“デスメタル”と知らずに、自分の素顔を見ているのだ それにしても何と広い家、そして何という数の客人だろうか この日のためだけに、余った金で作られた バッキンガム宮殿も真っ青と言った様子の、パイソンとブロウのパーティー会場は 余りに広大で、デスメタルは人ごみに流され、迷子になってしまっていた もみくちゃにされ、目を回したデスメタルは、ふらふらと頼りない足取りで 何とか、知り合いであるブロウかパイソンを探そうと努力していた そんな矢先 「いてぇ!」 「!?」 大きな声に驚いてしまったが、どうやら うっかり男の人の足を踏んでしまったらしい 謝るためにその人物の顔を見上げ デスメタルは二度、驚いてしまう。その人物は 「あれ?確かハロウィンの時の…」 「そうだ、ブロウとパイソンの近所に住んでる、近所のこどもメタルちゃんだ」 「ど、どうも…」 恋焦がれている佐藤次郎がに正体を隠している事は、少し胸が痛むものの こうやって頭を撫ぜてもらえるのも、正体を隠しているからこそだろう そう思うと、ウソをついているのも、悪いものではないな、とデスメタルは思った 「足、だいじょうぶ?」 「あー。ツバでもつけてりゃ治るよ、こんなもん」 「ごめんなさい」 「気にすんな。それより、こどもメタルちゃんは一人なのかい?」 「うん。ブロウとパイソンとはぐれちゃって」 「仕方ねー連中だなぁ。よし。俺が一緒に探してやるよ」 思いがけない申し出を受け、デスメタルは心の中で、本日三度目の驚きの声をあげた 正直、次郎と二人になる事を想像していなかったと言えば嘘になるが まさかそれが実現するとは… 「あ、ありがとう」 「パイソンとブロウには世話になってるしな。あいつの友達は俺の友達みたいなもんだ それに子供一人、見捨てて遊ぶってのも寝ざめ悪ぃしな」 豪快に笑う次郎を見て、デスメタルは目を細める 異性の友人などそうはいないが、それを差し引いてもいい男だなぁと思う 「あら次郎さん。来てらしたんですね」 「あぁ、シルヴィアじゃねーか。さっきの賛美歌、なかなか良かったぜ」 先ほど、ステージで教会の子供たち達とうたっていた賛美歌を褒められ シルヴィアは嬉しそうに微笑んだ そして心の中でも1ポイントゲット!と笑ったが、これは心の中なので 誰にも気づかれることはなかった 「ありがとう。子供たちも喜びます。あら…そちらのお嬢さんは?」 「あぁ。こどもメタルちゃんだ。パイソンとブロウの友達でな。あの二人とはぐれたらしい」 「まぁ。それで次郎さんも一緒に探しているんですね。流石です…主の祝福があらんことを」 そう言いながら、次郎の前で手のひらを合わせ小さく祈るシルヴィアを見て デスメタルは素直にきれいな人だなぁ、と思った それと同時に恐らく自分のような死霊使いは最も嫌いなタイプなんだろうな、と思うと 少し悲しくなる 「よし!じゃあ私もお手伝いしちゃいますよ、次郎さん」 「ん?良いのか?」 「はい。正直言いますと、少しその…殿方がしつこくて困っていたのです なので次郎さんと一緒の方が安心できるというか…」 「そういう事ならお願いしようかな。ありがとよ」 「ありがとう」 「いえいえ。こどもメタルちゃん。シルヴィア・フォリナーです。改めてよろしくお願いしますね」 正直、次郎と二人っきりの時間が終わるのは寂しかったが シルヴィアは良い人そうだし、大勢の方が賑やかで楽しいかもしれない、とデスメタルは気持ちを切り替え そして、普段では考えられない行動に出た 自分からシルヴィアに話しかけたのである 「あ、あの…。どうすれば歌がうまくなるの?シルヴィアさんは歌がうまかった。いっぱい練習するの?」 「ありがとう、こどもメタルちゃん」 修道院で子供と触れ合う機会が多く、今現在も教会で子供と接することの多いシルヴィアの目には 眼の前の少女が勇気を振り絞って話しかけているのが、手に取るようにわかる それ故に、少女の目線にしゃがみ込んでニコリと自分に出来る一番の笑顔を浮かべた 「いい?確かに練習は大事な事よ。けどね、それより大事なのは気持ちなの」 「きもち?」 「ええ。そうよ。聞いている人に元気になってもらいたい、幸せになってもらいたい、楽しんでもらいたい… そんな思いやりの心が、歌に力を与えてくれるの。ううん。歌だけじゃないわ。どんな事にでも必要よ」 「思いやりの心…」 「ええ。だから、こどもメタルちゃんも、他者を思いやる気持ちを大事にしてくださいね」 「わかった」 「良い子ですね、子供メタルちゃんは。良かったら今度教会に来てみてくださいね。一緒に歌を歌いましょう」 正体を隠してなら、いってみてもいいかもしれない… シルヴィアの優しい笑顔を見ていると 教会でこの人と歌を歌うのもいいかもしれない、と思えるのだった その時である。鎖鎌が!という悲鳴にも似た絶叫が三人の鼓膜を刺激したのは 夜はまだ、始まったばかりである… 十六聖天外伝~クリスマスの章 第三話~
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1118.html
504 :似せ者 ◆Tfj.6osZJM [sage] :2009/02/01(日) 00 03 24 ID BmLkeDkU 第三話 ~亡くし者~ 別れの言葉を言う事は寂しい 別れの言葉を言えない事は苦しい 「おめでとう」 朝練に参加するや否や、杉下に言われた。 朝のあいさつは、おはよう、だろうとツッコミをいれようかとも思ったが、気分がいいので止めておこう。 「伝わるの、随分早いんだな」 告白した日の次の朝。まだ24時間も経っていないというのに… 「仁衣高校三大美女と付き合うっていうのはそういうことだ。今じゃお前はこの学校の大半の男子の敵だぜ。俺も含めてな」 「お前は姉さん狙いじゃなかったっけ?」 「お前さえよければ狙うけど?」 「俺の家に招待してやるって話、無しにしようか?」 「冗談だよ、未来の弟よ」 おどけて笑ってみせる杉下。こいつがそういう事を言うと本気に見えるから怖い。 「さて、のろけ話でも聞かせてもらおうか。昨日は一緒に下校して、その途中で喫茶店に寄って一時間近く談話で合っているか?」 「おいおい…。そこまで知れ渡っているのか?」 「いや、これは俺が個人的に尾行して知っただけだが」 「…」 昨日は部活がオフ。だから少しでも親交を深めようと優奈を誘って一緒に帰ったのだ。 しかしただ尾行するだけならまだしも、何故、喫茶店に居た時間まで把握しているんだ? 「あそこのカフェラテ美味いよな~。あ、お前はキャラメルラテを頼んでいたっけ?」 「…。全部見ていたのか?」 「もう何から何まで。会話の内容は聞き取れなかったけどな」 「…」 「おいおい、怒るなよ。結構近くで見ていたんだぜ。気付いておかしくない距離だった。んで、気付かれたらちょっと茶化して去ろうと思っていたんだが…。あまりにお前が気付かないから、引っ込みがつかなくなっちゃってな」 「緊張していて、周りなんて見えてねーよ」 「いやいや悪かった。素直に謝ろう。この通りだ」 頭を深く下げる杉下。まったく…、調子のいい奴だ。 505 :似せ者 ◆Tfj.6osZJM [sage] :2009/02/01(日) 00 04 17 ID 0UdZTbIV 「でも、お似合いのカップルに見えたぜ。お前も藤堂優奈も本当に楽しそうに笑っていた。幸せオーラばんばん振りまいていたな」 「お似合いに見えたか?」 「そりゃもう。お前と藤堂優奈ってどことなく雰囲気似ているしな」 「雰囲気が似ている…、か」 優奈の兄と俺が瓜二つなのだから当たり前と言ったら当たり前なのかもしれない。 「まぁお前の妹さんに少し似ているもんな、藤堂優奈って」 「え?」 「なんだよ、突拍子もないことを言われた~、みたいな顔して。自分で気付いてなかったのか?」 「いや、全然」 「お前が藤堂優奈が好きだと聞いた時に自然とそれに納得出来たのも、俺がお前の妹さんの顔を知っていたからだったんだが…」 優奈が唯に似ている。まったく気付かなかった。 確かに優奈の兄に俺が瓜二つなら俺の妹と優奈が似ているのも必然だ。 「俺が唯の面影を求めて藤堂優奈に惹かれたと?」 「俺はそう思っていた」 「俺が好きなのは藤堂優奈。唯の偽者ではないよ」 「さらに妹さんに瓜二つの女の子が居ても、藤堂優奈を選ぶと?」 「もちろんだ」 俺はきっぱり言い放った。 「そろそろ行こうぜ、俺はともかく、お前は昨日、たいした練習してないだろ?」 杉下との会話に終止符を打ち、ランニングに向かおうとした。 「あ、ちょっと待った」 「何だよ?」 「お前の家に行くって話、明日でもいいか?」 明日は土曜、学校はない。部活も午前中で終わる。姉さんは居るか知らんが… 「分かった、姉さんにそれとなく明日の予定聞いておくよ」 「感謝する、我が弟」 まったく、抜け目のない奴だ。 少し長話が過ぎたので俺らは急ぎめにそれぞれの練習を始めた。 506 :似せ者 ◆Tfj.6osZJM [sage] :2009/02/01(日) 00 06 29 ID 0UdZTbIV 昼休み、俺は屋上に向かい優奈と合流した。 「兄さんの弁当を作らせてください。私の料理の腕、さらに上達したんですよ?」 と昨日言われたのだ。 好きな子の弁当を食べる学生生活。絵に書いたような青春だ。 「悪い、優奈。待ったか?」 「いえ、今来たところです」 二人でベンチに腰を掛ける。 「さて、さっそく見てもらえますか?私の作った弁当を」 「おう、楽しみにしてたよ」 持っていた二つの弁当を順に開けていく。 一つは主食のサンドイッチとおかずのステーキ・マリネの3品をメインにして、人参やパセリで彩りを整えた洋風の弁当。 一つは梅干が乗ったご飯と、鮭・ほうれん草の御浸し・黒豆・漬物などの日本の昔ながらのおかずが入った和風の弁当。 「洋風と和風、兄さんがどちらを食べたいか分からなかったので二つ作ってきました。どちらがいいですか?」 「ちょっと待って。これ全部、優奈が作ったの?」 「すみません、こっちの弁当の黒豆は買ってきたものです」 「いや、そういうことじゃなくて…」 凄すぎる。その一言だ。これだけの品数を朝一日だけで作ったのだろうか。しかも一つ一つクオリティーが高い。 「本当に料理上手いんだなー」 「そういうことは食べてから言ってください」 「じゃこっちの和風の弁当を貰うよ」 俺は弁当と箸を受け取った。 「いただきます」 好物のほうれん草から口に運ぶ。 優奈は合格発表を待つ受験生のような顔で俺を見ていた。 「うん、美味い!物凄く美味い!」 「それは良かったです」 優奈の顔がパァーと輝く。やっぱり可愛い。 優奈も洋風の方の弁当を取り、食べ始めた。 507 :似せ者 ◆Tfj.6osZJM [sage] :2009/02/01(日) 00 07 39 ID BmLkeDkU 「友達付き合いとか大丈夫でしたか?昨日の今日で昼休み呼び出してしまって」 「優奈のこの弁当を食べられない方が大丈夫じゃないよ」 俺は夢中になって食べていた。 「兄さん?」 「うん?」 「私の事、恨んでいませんか?」 「え?」 「いえ、何でもないです」 どういう意味だろうか? 「こっちの弁当も少し食べてくれませんか?」 「いいの?」 「私こんなに食べられないですよ。それにこのハンバーグ、自信作なんです」 言われるがままにハンバーグをとる。 「美味い!俺の姉さんの百倍は美味い!」 「姉さんの?」 「俺の姉さんな、料理にはまってるんだけど、これがもう下手で…。この前はハンバーグ食べさせられたんだけど、焦げているわ味付けおかしいわで…。もう勘弁してください、って感じだったよ」 「絵里さんがですか?」 「あ、知っているの?」 「知っているも何もこの学校で絵里さんのことを知らない女子は居ませんよ」 笑いながら言った。 「姉さん、そんなに凄かったのか…」 「でも絵里さんにそんな弱点があるなんて知りませんでした。あまりの完璧ぶりから女神様という通り名まで付いているんですよ」 「食関係はめっぽう駄目なんだよ。作るのは駄目だし、食べるのも瓜科のものは何も食べられない。だからサンドイッチもハンバーガーも食えないんだぜ」 「驚きです」 「瓜科のものは95パーセント以上が水分だからそんなもの食べる腹の空きがあるなら栄養豊富な緑黄色野菜でもとりなさい!なんていつも俺に言ってくるよ」 姉さんの口調を真似しながら言った。俺と優奈から笑い声がこぼれる。 「でも、不思議ですね」 「え?」 「私の兄さんの姉さんは、私の姉さんじゃないなんて…」 「あ…」 「私、頭では分かってるんです。兄さん、いや赤坂君が兄さんの生まれ変わりでもなければ、もちろん偽者でもないって。でも今はまだ…」 「分かってる、優奈の気持ちの整理がつくまで、俺は優奈の兄さんだ」 「ありがとう。兄さん」 ちょっと切なそうに、でも嬉しそうに笑う優奈。 この笑顔が見られるなら、俺はいつまでも偽者で構わない。 いや本心ではそんなことないのかもしれない。でも今の俺には優奈の彼女になることよりこっちの笑顔の方が大事だ。 「なぁ、もう一個ハンバーグくれないか?」 「はい、どうぞ、兄さん。また作ってきますね」 優しく笑う優奈。 うん、今はまだこれでいい… 508 :似せ者 ◆Tfj.6osZJM [sage] :2009/02/01(日) 00 08 59 ID BmLkeDkU その日の深夜、妹の墓参りに行った。 学校帰りに行く事もあれば、ランニングウェアでトレーニングついでに行く事もある。 かなり定期的に妹の墓には通っていた。 「唯。俺な、彼女が出来たんだ。まぁ正確には彼女ではないんだけど…」 墓石に向かって話しかける。もちろん返事はない。 「藤堂優奈って言うんだ。仁衣高校三大美女って呼ばれるほど可愛いんだぜ」 そう言って墓石に優奈の写真を向ける。 「杉下がお前に少し似ているって。お前も三大美女並みだってことだぜ。嬉しいだろ」 唯も姉さんに負けず劣らず相当モテた。兄として、誇らしくもあり、気に入らなくもありとそんな感じだった。 「高校生になったお前、見たかったな。きっと可愛かったよな」 もう涙は出てこない。でも依然、虚しさは湧き上がってくる。 「話、まだまだあるんだ。陸上部の話とか、姉さんの料理の愚痴とか」 映太だけには 「お兄ちゃん」 きっと、そんな声が聞こえている。 死んだ人間はこの世から居なくなる。 この世界に赤坂唯という人間は居ない。 墓石は確かに死者のものだ。 しかし墓参りは死者のためだけのものでない。 生者のためのものでもある。 映太の墓参りは週2・3回。 赤坂唯の死から一年少し。今もそのペースは落ちていない。 深夜の墓場の真ん中に、男が一人。 墓石達はいつもの来客を気にもせず、しんみりと眠っている。 今日も映太の墓参りは長い。
https://w.atwiki.jp/sousakurobo/pages/970.html
中国大陸南部・石竜近郊 バダダダダダ 帝國陸軍の空中砲兵、その中隊に所属する機体は全部で20機。先日の件で1機が失われており、19機のマングスタが戦脚を索敵、破壊すべく大陸の空にはばたいていた 「流石に広いわね」 基地から飛び立って、早一時間。眼下には人の姿もなく、荒涼とした平原が広がっていた 「どこに居るんでしょう」 ガンナーが聞いてくる 「情報はブリーフィングで言った通りよ」 コンテナ二個に入れられる程度の大きさ、最大で機銃が二基・・・ただ、移動力はそうでもない。歩兵と随伴するのが役目だから。 「何かの移動手段に頼っているはず」 大型トレーラーか、あるいは河川用船舶 「あぁ、それで川沿いを飛ばしてたんですね」 「それぐらいは理解してなさいよ」 まったくこの子は・・・でも、いったいどこへ?まだ海に出るほどの時間は経ってないのに。 ??? 「驚いたな、こんなものがあるなんて」 潜水式運貨筒、物資を潜水状態で運ぶカーゴ。動力はないため船に曳いて貰う必要があるが、潜水状態なら気付かれることはあるまい 「日本人はたいてい川の深さに無頓着ね」 通常より動力を強化してある漁船を操作している女が答えた 「日本は狭いもんでね」 「だから出てきたと?」 言葉尻がキツい。まぁ仕方がないんだが 「・・・それで、どこに連れていくつもりなんだ?」 組織のある場所に行って、何がどこまで出来そうなのかがわからなければ、何も出来ない 「すぐだ」 「すぐといわれてもな。って、おい」 危険と書かれたブイの傍を通る。この先は・・・! 「灰の町、そう呼んでるわ、私達は」 1960年代、九竜半島を中心にパンデミックが発生しかけた。詳細は良く知らないが、インフルエンザのたぐいだったらしい。 患者等を香港島に押し込め、隔離した日英両帝國は協議のうえ、艦砲射撃を間に挟む二度の核による熱殺処分を行った 核を一度実地に使ってみたかったのだという説もある 「被曝しちまうぞ!」 「?」 これは杞憂である。砂漠地帯ならまだしも、東アジアの場合、毎年の台風等が放射能洗浄に役立っており、廃墟内で大暴れでもしないかぎりは、既定値を少し越える程度浴びる程度である 「じゃあ、私は漁をするから、運貨筒に乗って。あとは機械に曳いてもらえるから」 「お、おう」 漁船はカモフラージュの為に漁をしなければならない。現地人が無知のまま穴場として漁をしている。そんなストーリーだ 「ようこそ灰の町へ、同志よ」 漁船から切り離されて鎮座した運貨筒を何かが(アームだろう)ひっぱり入れた場所は、まるで潜水艦基地のようだった 「ここがあんたらの本拠地か」 「まぁそんなとこだ」 無線機の先に居た声の男が出迎える 「この桟橋のホール以外は殆ど潰れてしまっている。見てくれよりは狭い。まぁ、しがないテロリスト集団だがね、我々は。しばらくは我慢してくれ」 自嘲的に笑いながら、男は肩をすくめた 「ま、おたくのところの戦艦がほじくりかえしたせいだがね」 「わかってるよ。十分だ」 こいつら、かなりできる組織だ。こういった基地を設けられる時点で只者ではない 「武器や道具はそのうちクワンチョウの業者から届く手筈さ」 物資は先程の運貨筒を使って運び入れてたわけか、道理で手慣れてるわけだ 「あとは俺のOSだな」 「そうだ」 笑みがこぼれる。ここからだ。ここから戦脚は第三世界やテロリストに広がってゆくだろう 「仕事がしたい、パソコンはあるか、早速取り掛かろう」 彼らには世界に立ち向かう手段が必要だ、それを俺が与えてやる 戦脚は大陸に燃えたか?【第三話】
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/396.html
668 :いない君といる誰か [sage] :2007/01/05(金) 13 04 35 ID w9uu+67R ・三話 如月更紗についてのあれこれ。当年とって15歳。ただし正確な誕生日は不明。同じクラス、同じ学年だから15だと思っているだけで、本当は16歳かもしれない。 実際のところ内情について知っているのはほとんどない。クラスメイト――それはクラスが同じというだけで、なんら共通項を得るようなものじゃない。 例えば彼女がどこの中学校の出身だとか、どこに住んでいるのだとか、野菜と果物のどちらが好きかとか――そんなことが、僕に知り得るはずもない。 分かることといえば、それこそ外見的なことと、彼女の立ち居地だけだ。 こうしてみる限り校則違反はしていない。紺のプリーツスカートは極端に上げたり下げたりはしていないし、白の半袖シャツの下に柄物が見えることもない。 もっともこんなバカでかい鋏を持っている時点で、校則違反以前に法律違反だが――今のところ、誰も気付いた様子はない。かくいう僕もこうして突きつけられる までは彼女がそんなものを持っていようとは夢にも思わなかった。 長く伸びた艶のある黒髪は、こまめに手入れしてあるのか腰のあたりで綺麗に切りそろえられている。その几帳面さが、日本の古い幽霊映画に出てきそうな雰囲気を かもし出していて、何ともいえないくらい絶妙に……似合っていた。学校にいる間中、ぼぅと窓の外を見て一言も喋らない、どこを見ているのか分からない如月更紗と いう少女の雰囲気をひきたてるのに、それは適格だったのかもしれない。あるいは、本人が意識してそうしていたのかもしれない。 そんなことを、つらつらと。 口内を蹂躙されながら、思った。 「ん、ん――! んんん――!」 口の端からだらだらと如月更紗の唾液がたれ始め、呼吸困難を憶える頃になって、僕はようやく抵抗を開始した。 というか、この女。 普通こういうときは触れるだけのキスをするだろうに、まるで攻撃でもしてくるかのように、無遠慮に舌を入れてきやがった。 あまりもの衝撃に突き飛ばすのも驚くのもキスに対して何かを思うのも忘れて、現実逃避してしまった。 しかし一度現実に戻れば、当たり前のように抵抗する。なぜって、それは舌を入れられたことよりも―― 「暴れないで欲しいものだね……」 つぅ、と唾液の糸を引きながら如月更紗の唇が離れた。ぬらぬらと、放課後の光を浴びて輝く液体は扇情的で、未だ唇と唇が繋がっていたことをその身で証明していた。 エロスティックというか、エロいというか、マロいというか、そういうのを否定するつもりはない。 どこか潤んだような瞳で僕を見てくる如月更紗の姿を見ていると、こう、ぞくぞくと背筋にくるものがある。 が、それとこれとは別だ。僕は如月更紗の瞳をしっかりと見返して、言った。 「この――下手糞」 「………言葉遣いが悪いわよ?」 「なら言い直してやる! この下手れ!」 「それはまた別の意味よ。まったく困った同級生だわ」 あっけらかんと、自分に非がないように髪をかきあげる如月更紗。その仕草に再びどきりとさせられるが、意識を総動員して無視する。 「いきなり何すんだって言いたいが……他に言いたいことがあるんで先に言ってやる。歯をがんがんぶつけんじゃねぇ!」 そう――そうなのだ。てっきりいきなり舌を入れてくるくらいだから上手いかと思ったのに、この女ときたら、舌を動かすたびに頭を押し付ける せいで歯ががんがんと当たるのだ。おまけに痛みなんて気にしないかのように続けるから、延々とがち、ガチとぶつかる音が脳内で響く。 最悪だった。 何が最悪かって、キスにわずかに期待してしまった自分が最悪だった。 「仕方ないのよ。慣れてないんだから」 「慣れてないならいきなりキスなんてするな!」 「勘違いしないで。キスには慣れてるのよ」 「……? じゃあ、何に慣れてないんだよ」 僕の問いに、如月更紗はクラスでは絶対に見せないような、そのくせこの屋上では何度も見せた、にたりとした笑みを浮かべて、 「生きてる相手とするのには、慣れてないのよ」 なんてことを、さらりと言ってのけた。 「………………」 冗談か本気か、その妖しい笑顔からでは判別できない。 判別したいとも――思わない。 669 :いない君といる誰か [sage] :2007/01/05(金) 13 34 09 ID w9uu+67R 「とにかく」 こほん、とわざとらしく如月更紗は咳払いした。上体を起こしていないせいで、口から漏れた息が直接顔にかかる。 生暖かいような、甘いような吐息だった。 「何だよ」 問い返すと、如月更紗は、それが当然だと言わんばかりの口調で、はっきりと言った。 「慣れていないのだから、慣れさせてよ」 「なんでそうなる!?」 「あら、あら! 当然の理屈だわ、当然の理屈よ――アインシュタインもニュートンも団鬼六先生も賛同してくれるに違いないわ」 「物理学者と官能小説家を同じラインに並べるのかお前は!?」 恐ろしい女だった。 ある意味、人類平等を体現しているのかもしれない。 「貴方がファーストキスもまだだと言うのならば、やぶさかではないけれど」 ため息と共に、如月更紗はそういった。なんとなくバカにされているようで癪に触る。 「貴方がファーストえっちもまだだと言うのならば、諦めるけれど」 深い深いため息と共に、如月更紗はそんなことを付け加えた。 「いや、それは付け加えなくていい」 「そう?」 大体キスをしたことがあっても初体験もまだだというのは世の中には一杯いるだろう、と思ったが言わないでおくことにした。 余計なことを言えば藪をつついで鬼を出す嵌めになることくらいは想像できる。 どうも、如月更紗という相手は――未知数だ。 何が返ってくるのかわからない。 何を思っているのかわからない。 何のためにここにいるのか、まだ、分からない。 「…………」 そのことに多少の警戒はあれど。 「如月更紗」 「何かな?」 「眼、つぶれ」 僕は――思春期なのだった。 言われた通りに素直に子供のように、如月更紗は眼を瞑った。そのまま微塵も動かない。僕の方から、何かをするのを待っているように。 殉教者のように、如月更紗は待つ。 「…………」 その耳の側から、如月更紗の髪に僕はそっと右手を差し込んだ。手で触れることで、彼女の髪のきめ細やかさがよくわかる。 いつまでも触っていたいような、それだけで幸せになれるような触感だった。 「……動くなよ」 一応、そう前置いて。 手で、ゆっくりと、如月更紗の頭を引き寄せる。如月更紗は何も抵抗することなく、僕の手に導かれるままに顔を寄せて、 眼を瞑り、唇を横一文字に閉じる如月更紗。 その顔に、歯がぶつからないように――そっと、キスをした。 血の味が、するような、気がした。 670 :いない君といる誰か [sage] :2007/01/05(金) 13 56 46 ID w9uu+67R 今度は歯がぶつかることはなかった。もっとも如月更紗のように舌を入れるようなことはしない。 唇をそっと触れて、相手の唇を舌でなぞるだけの、簡単なキスだ。それでも、痛みがないというだけで先よりもずっと良かった。 痛くはない。血の味もしない。温かく、柔らかい、 人間との、キス。 「ん……」 小さな吐息と共に如月更紗の唇が離れていった。気付けば、自分から彼女の頭に差し込んでいた手を話していた。 人の胸板にのしかかるように身を寄せて、如月更紗は僕を覗き込む。至近距離で見る彼女の瞳は、どこか猫のように笑っていた。 「確かに――上手ね」 良し、よし、よし、と子供をあやすように如月更紗は幾度か繰り返した。 上手いと言われて悪い気がするはずがない。僕は思わず微笑みかけ、 「貴方のお姉さんと、練習したからかしら」 微笑みが、固まった。 意識してか、意識せずか、そんなことはどうでもいい。 どうだっていい。 問題は彼女が、如月更紗が何げなく、何事でもないように口にした、軽口のようなその一言にしかない。 僕は押し黙り、恐らくは、明確な敵意を持って――如月更紗を睨みつける。 この距離で、睨みつけられても。 如月更紗は――微笑んでいた。 「どうやら――姉に対して鬱屈したコンプレックスを抱いているシスコンで、正しいみたいね」 くすくす、と笑う。僕は笑わない。僕は笑わずに、黙って、彼女を見遣る。 如月更紗を、見る。 「とはいえ言い過ぎたわ、口が崖から落ちていったようね」 そう言って、如月更紗は唐突に僕から身を離した。両足で立ち上がり、鋏を制服の背中に隠す。 さっきまで濃厚な彼女の匂いに包まれていたことに、僕はようやく気付いた。彼女が離れたことで その甘い蜜のような匂いの存在に、ようやく、気付けた。 脳が痺れるような――如月更紗の匂いだった。 「今日は色々考えてくださいな。色々と、色々と――思い起こして思い返して考えてね、冬継くん」 それでは、また明日。 そう言って、如月更紗は、寝そべったまま身を起こせないでいる僕をまたいでつかつかと歩き去った。 人の顔面の上を通り越していったせいでスカートの中身が見えたのにまったく気にした様子がない。 用は済んだのだとばかりに、振り返ろうともしない。 振り返らず、何も言わず。 がちゃん、という音と共に、如月更紗は屋上から出て行った。 「………………」 今日一日と、昨日のことと、明日のことと、如月更紗のことを思って。 屋上に寝転がったまま、僕は深く、深く深く――ため息を吐いて、舌で唇を舐める。 キスの感触が残っていた。 ・第三話 了
https://w.atwiki.jp/daijirou/pages/32.html
第三話~終焉の銀河へ~ 56 :1 ◆FIMtiCEuhM :2008/05/26(月) 06 49 30.05 ID MXDTmHE0 5月19日(月)『私もうだめかもしれん』 普通に学校。 昨日からなぜか俺はエネルギッシュでやる気に満ち溢れていた。 学校に着き、授業をバリバリうける。 上野の後ろ姿を見ながら課題をこなす。 昨日の『別にラブじゃねえよ』という言葉を思い出し、少し胸が痛む。 でもいいんだ!いつか見てろよこのやろー! と勝手に自己完結しながら昼食。 携帯がなる。メールが来たようだ。 アキバからだ。 あれ?そういや今日アキバ学校来てたっけ? いや、見てない。休みだ。 アキバは授業を休むことが結構あるので別に気にとめなかったのだ。 寝坊したーとか、そういうメールでもきたのか? アキバから来たメールを見て俺は仁王像みたいに顔をしかめた。 『私もうだめかもしれん』 絵文字も顔文字も、句読点すらないたった一行だけのメール。 57 :1 ◆FIMtiCEuhM :2008/05/26(月) 06 54 36.64 ID MXDTmHE0 俺 『どしたん?まったく意味がわからんぞ(笑)』 送信。 ……。 受信。 アキバ 『すまん笑 1今暇ある?』 俺 『おいサボり魔ー、午後も授業だっつの!!笑 お前今日は来ないの?まだ家?』 アキバ 『今学校の近くーでメール待ちながらボーッとしてる。今日は行かないと思われ』 なんだ、この女は学校サボってなにやってんだ…? メール待ちながら、って俺のメールをだよな? 俺 『なんかわかんないけど、なんかあったなら授業ふけてそっち行こうか?』 送信。…授業をふける?あれ、俺なに打ってるんだろう。 なんかメールって自分の言葉に対する責任感が希薄になるきらいがありますよね? アキバ 『1さま~~(涙マーク)アキバはチュッパチャップスを持ってお迎えいたしまする~~ マジでいいの?』 俺 『いいよ、ちょっと待ってて』 んで先生に早退できるか確認。 俺「ちょっと家の用事で…」 先「おっ、いいよいいよ~」 こういうとこ軽いよな、専門はww 58 :1 ◆FIMtiCEuhM :2008/05/26(月) 06 56 07.17 ID MXDTmHE0 俺 『先生から許可もらった!今ドコ?』 アキバ 『市役所近くのローソン~待ってるぜい』 ローソンにつくと、ビニール袋ぶらさげたアキバが立っていた。 ア「ほい」 俺「?」 ア「チュッパチャップスww」 俺「ああwwさんきゅwwww」 律儀なやつだww 俺「んで、学校サボってなにしてんの?ww」 ア「あーうん、ここじゃちょっと…」 俺「場所かえる?」 ア「あんま人目につかないところがいい、かも」 俺「おまえ…人でも殺したのか?ww」 ア「ちゃうわww」 電気屋の屋上。 ベンチと自販機、日よけがあるのでサボりのサラリーマンの聖地になっている。 サボりの学生も然り。 紙コップのジュースを買ってベンチに腰掛ける。 59 :1 ◆FIMtiCEuhM :2008/05/26(月) 06 58 45.39 ID MXDTmHE0 俺「…で?」 ア「うん…」 アキバの話は好きな子の話、いや。 “好きだった子”の話だった。 話がディープ過ぎて深くは書けないが、アキバの好きな女の子もバイらしいんだよね。 んでその好きな女の子がまぁ、二股をかけていたという話です。 二股と言ってもアキバとその子は正式に彼氏彼女…いや彼女彼女か? そういうわけでもなかったらしいが、 その… “行為的”なことはしてたらしくて。 でもその子は他の女の子とも“してた”らしいんだ。 裏切られたことに深いショックを受けて、 学校なんていってられっかー!!でも一人でいたくねー!! ってことで俺を呼んだそうです。 60 :1 ◆FIMtiCEuhM :2008/05/26(月) 07 00 06.20 ID MXDTmHE0 ア「結局男でも女同士でもおんなじだよね……」 俺「うーん浮気する人はするし、しない人はしないんじゃない?たぶん」 ア「そうかー?」 俺「俺は付き合ったことないからわかんないけど、浮気なんてビビってできないと思うww」 ア「でも余裕出てきたらしたくなるんじゃない?」 俺「いやー、ないよww」 ア「じゃあ、仮に上ちゃんと付き合えたとして」 俺「うんうん」 ア「上ちゃんよりも可愛い子に誘われたら、どうする?ヤッちゃうでしょ?」 俺「……うーん、俺は」 俺「俺は、上野と付き合えるってことだけで十分満足しちゃうだろうから、 たぶんそんな欲出ないわwwww第一、好きな子裏切りたくないし」 ア「なんかキレイごとー、キレイごとだ」 俺「でも本音だけどな」 ア「……」 61 :1 ◆FIMtiCEuhM :2008/05/26(月) 07 01 26.52 ID MXDTmHE0 俺「アキバを裏切る人もそりゃーいるだろうけど、 アキバを裏切らない人もいっぱいいると思うよ。 少なくとも俺は、裏切らない。 …って断言はできないけどさww“裏切りたくない”とは思ってるよ」 ア「……キモスwwwwww」 俺「うっせwwwwww」 ア「はぁ~ホントキレイごと好きね1さんはww」 俺「心がキレイだからww」 ア「でもそういうのいいと思うよ。うん、いい」 ア「○○(ボーカルの子)は“裏切りたくない”って思わなかったのかな…」 俺「思ってたけど、結果的に裏切ってしまったのかも」 ア「じゃー信じるのって怖いね。信じ切れなくない?」 俺「でも好きな相手だったら信じたくない?」 ア「まーねー…」 信じれない、それでも信じたいとか、延々と話してた。 62 :1 ◆FIMtiCEuhM :2008/05/26(月) 07 02 35.58 ID MXDTmHE0 5月23日(金)『めちゃくちゃ冴えない男だけど』 相変わらず学校に行っては授業の毎日。 2、3日前までは溢れ出んばかりのやる気で心は情熱に満ちていた俺だが、 この頃にはすでに情熱の炎は100円ライターのショボい炎ほどに縮んでいた。 なんだかんだで凹んでたんだろうな。 『べつにラブじゃねえぞこのクソ虫』っていう上野の言葉に。 言われてすぐはショックを受けいれるのに抵抗があって、無理にポジティブぶってたんだと思う。 少し落ち着いて言葉を何度も反芻するうち、 その言葉は日に日に殺傷力を増して、俺の心を深く執拗にえぐりだした。 もう無理なんじゃね? そもそもこんな冴えない俺に彼女なんてできるわけねえっつの…。 63 :1 ◆FIMtiCEuhM :2008/05/26(月) 07 03 48.86 ID MXDTmHE0 授業が終わり、放課後。 上野に話しかけようか、話しかけまいか。 でも話したって俺のことはどうせラブじゃないし…無理じゃん。 いやいや話したいよ、だけど話したら俺の方ばっかラブが強くなって つらいばっかじゃねえかよ!! あ、そうこうしてるうちに上野教室から出ちゃったwwww あああやっぱ話しかければ良かった…orz いや…ま だ 間 に 合 う ! ! 俺「上っ…」 ア「1、ちょっと○○(本屋)寄ってかない?」 俺「おふwwww(アキバ空気嫁wwwwww)いいよ行こうかwwww」 ア「なんでダッシュしてた?ww」 俺「…別にww」 64 :1 ◆FIMtiCEuhM :2008/05/26(月) 07 04 36.88 ID MXDTmHE0 ア「あ、GANTZ出てる」 俺「買うの?」 ア「集めてるからww」 俺「読み終わったら見してwwww」 ア「おkww」 ア「ちょっと話そーぜー」 俺「うん、前とおんなじ場所でいい?」 ア「おー」 電気屋の屋上のベンチに座る。 65 :1 ◆FIMtiCEuhM :2008/05/26(月) 07 06 08.63 ID MXDTmHE0 ア「○○の事は」 俺「うん」 ア「フッ切れそう…かも」 俺「“かも”かww まぁ、ゆっくりでいいと思うよ」 ア「……」 俺「……」 ア「なんでフッ切れそうかって言ったら」 俺「?…おう」 ア「なんでかって言ったらーww」 俺「おう、なんでなんだよ?ww」 ア「アタシ、好きな人、できた…っぽいww」 俺「“ぽい”てww それも曖昧やなwwww」 ア「だって自分でもよくわかんないwwwwなんでコイツ?みたいなww」 俺「聞きにくいけど、また…?」 ア「ううん、今度は男wwww」 俺「おーバンドの人とか?」 ア「全然関係ないwwww」 66 :1 ◆FIMtiCEuhM :2008/05/26(月) 07 06 58.25 ID MXDTmHE0 ア「いやーホントなんか、パッとしないやつ好きになってしまったんだww」 俺「マジかwwww」 ア「マジマジww 顔がいいわけでもないし軟弱っぽいし、言ったら悪いけどめちゃくちゃ冴えないwwww」 なんか、俺にダメだしされてるみたいだwwww 俺「どこがいいんだその男wwww」 ア「…あたしこんなだからさ、いかにも男!って感じの人が無理で。 あんまり男を感じさせないってトコがいいのかなぁー」 ア「それにバンドの人とかは理解してくれるけど、 アタシみたいな格好の奴とか、ふつうはちょっと距離おくじゃん? でもその人は距離とかホントなくて、居心地よくて。 それにアタシが凹んでるとき、駆けつけてきてくれたりしてくれたんだよ、そんで……」 あれ。 67 :1 ◆FIMtiCEuhM :2008/05/26(月) 07 09 09.34 ID MXDTmHE0 ア「…めちゃくちゃ冴えない男だけど、めちゃくちゃこいつカッコいいなって思ったんだよね」 もしかして……。 ア「でもそいつ好きな人がいるんだよwwすごい可愛い子wwww勝てないwwwwww」 アキバの好きな人って……。 ア「はぁー報われねー…ww」 ア「アタシ、1の事……好きっぽい」 68 :1 ◆FIMtiCEuhM :2008/05/26(月) 07 10 44.48 ID MXDTmHE0 俺は生まれて初めて女の子に告白というものをされた。 だからどういう顔をしたらいいのかわからなくて、なんて言ったらいいのかわからなくて 冷たい汗がドッと出て、血液の流れがどんどん速くなって、 なにか言わなきゃ、って焦りが顔に出てしまった。 そんな俺の顔を見てアキバが、あからさまな作り笑いで、 ア「…言わなかったことにしよっかww …ね?」 俺は首を横に振り、小さな声だったけど「ありがとう」を言えた。 とっさに「ごめん」が出てこなくて良かったと思った。 69 :1 ◆FIMtiCEuhM :2008/05/26(月) 07 12 02.91 ID MXDTmHE0 アキバからメール 『今日はいきなりごめん。ホント気にしなくて良いから! わたしの勘違いじゃね?ってことでww 1の恋が成就するように願ってるぜいー』 なんて返したらいいのかわかんなくて、返信できなかった……。 アキバ、ごめん……俺、どうすればいいかわかんねーんだ。 アキバの告白をうやむやにしている自分の男気のなさが、情けなかった。 かっこよくもなんともない、めちゃくちゃ冴えない男そのまんまだ。 70 :1 ◆FIMtiCEuhM :2008/05/26(月) 07 26 24.88 ID MXDTmHE0 アキバは化粧とか格好は派手だが。普通に可愛いと思う、巨乳だし。 俺と並んで歩いてる姿なんて想像もつかないけど、 付き合えたらラッキーだと思う。 ただやっぱり俺は上野が好きだ。 …好きだけど、アキバの告白で気持ちがグラついてしまったのも事実なんだ。 正直俺なんかに上野が振り向いてくれるかなんてことはわかんない。 今の現状は、目の前ににすごい幸運が舞い降りてきたのに、 シカトしてみすみす不幸に突っ込もうとしている状況なのかもしれない。 マジで上野のことは好きなのは本当で、でも本気でなんかなにが正しいのかわかんなくなってしまった……。 上野が好きで、上野が振り向いてくれればいいってそれだけだったのに 今の俺には色んな欲が出てしまっている気がする。 浮気する人はするし、しない人はしない。俺の言った言葉に苦しめられているようだ。 浮気とかとは違うと思うけど、一途でいれないってことは俺にとって浮気に似たものを感じるんだ。 書いててもやっぱり頭の中整理できない…。 とりあえずここまでが最近の流れ。 俺は学校行ってくるよ。アキバと顔合わさなきゃいけないと思うと少し気が引けるが…いてくる。
https://w.atwiki.jp/sousakujojis/pages/286.html
セブンスカラー 第三話 波乱の転校生 更新日:2020/07/03 Fri 01 41 27 タグ一覧 セブンスカラー 紫水龍香 よぉ!あらすじを担当するカノープスだ!前回は兄が生きてるかもしれないことと昔の兄のことを龍香が知り、そして新しい力!トリケラカラーでシードゥスを倒したんだったな。 その様子を見ている奴らもいたが...?どうなる第三話! 「おはよう~。」 「あ、龍香おはよ。」 龍香が教室に入ってすぐの席にいるかおりに挨拶すると彼女が振り替える。 「そう言えば昨日門限間大丈夫だった?」 龍華はかおりの後ろにある自分の席に座りながらかおりに聞くと、彼女は苦笑いしながら言う。 「いや、走ったけど間に合わなくてスゴい怒られた。外で寝てた、って言ったらはしたないってさらに怒られたし。」 「ハハ...。」 昨日の彼女の踏んだり蹴ったり具合を考えると同情する。何せ昨日の一件は何一つ彼女自身のせいではないのだから。 「あれ?そういや。龍香。何か珍しいヘアアクセだね。」 「う、うん。ちょっと気に入っちゃってさ。」 かおりが龍香の髪の毛を止めている恐竜の頭蓋骨のようなアクセサリーに目を止める。 勿論ただのアクセサリーではなくカノープスだ。ホントは着けたくないが彼曰く。 《カバンかポケットに入れられっぱなしは暇でしょうがない。喋らないからつけといてくれ。》 とのこと。特典として授業中分からないことがあればコッソリ教えてやるとも言われたので渋々つけることにしたのだ。 「龍香そんなの好きだったんだ。へー。」 「アハハ...あっ。そうだ。何か今日何か皆騒がしいね。何かあったの?」 これ以上突っ込まれたくなかったので強引に話題を変える。龍香の言う通り教室はいつもと比べて話す子が多く、ガヤガヤと賑わっている。 「なんだ紫水。オマエ知らないのか?」 「あ、藤正君。」 龍香に話し掛けてきた活発そうな少年、藤正透(ふじまさ とおる)は得意そうに言う。 「今日テンコーセーが来るらしいぜ!職員室でセンセーが言ってた!」 「へー。転校生が来るんだ。」 「と言うかなんであんた職員室に行ったの?」 かおりの質問に藤正はヘヘッと鼻の下を指で擦りながら答える。 「昨日掃除当番サボったの怒られてよ...」 「なんでちょっと自慢気なのよ...。」 「アハハ...。」 と三人が話していると授業開始のベルが鳴り、教室のドアが開いて黒髪をキッチリと整え、物静かそうな男性が入ってくる。 「よーし。HRを始めるから皆席についてー。」 男性...嵩原祐司(たかはら ゆうじ)は教壇に立つと挨拶をして、点呼を取った後また全員に向き直る。 「さて、今日はみんなに新しいお友達が一人増える。転校生だ。まだこの学校には慣れてないから皆仲良くしてほしい。」 嵩原がそう言うとクラスの皆が浮き足立ってざわざわと騒ぎ出す。嵩原はその様子に微笑みながらドアに向かって言う。 「では。入っておいで。」 嵩原の言葉と共に教室のドアが再び開き転校生が入ってくる。 その転校生は少女だった。薄く輝く金髪、銀のヘアアクセ、空のように青い瞳、そして歳に似つかわしくない程落ち着いた雰囲気。 少女はクラス全員から好奇の目を向けられながらも嵩原の隣に立つ。 「じゃあ挨拶を。」 「...雪花藍(ゆきはな あい)。今日このクラスに転校して来ました。皆さんこれからよろしくお願いします。」 雪花の挨拶に皆がより一層喋り始める。可愛いね、とか何処から来たんだろ、と口々に言う。 「ひゃー、スッゴい可愛いね。」 「うん。何か住む世界が違うって感じ。」 かおりと龍香が喋っていると、龍香はふと雪花と目線が合う。というか何故かずっと龍香を見てる。 「席は...そうだね。紫水君の隣で良いかな?」 「え。」 「分かりました。」 雪花はつかつかと歩くと紫水の隣の席に座る。 「よ、よろしくね。雪花...さん。」 「よろしく。」 「に、似合ってるね。そのヘアアクセ。」 「ありがと。」 龍香が話し掛けるが雪花は素っ気なく返す。近寄りがたい雰囲気に少し龍香が戸惑っていると雪花は龍香にだけ聞こえるようにコッソリと言う。 「放課後。ちょっと顔貸しなさい。」 「へ?」 もう一度聞こうとするが雪花はもう話す気は無いと言わんばかりにそっぽを向いてしまう。 《いきなりお誘いとはモテ期来たな。》 「そんなんじゃないと思うけど...」 カノープスがコソッと話し掛ける。しかし龍香には雪花がそこまで友好的には感じられなかった。 そして時は過ぎ。結局雪花はクラス中の生徒に話し掛けられっぱなしで龍香がHRで聞いた事の真意を聞き出す事が出来ず仕舞いのまま放課後になってしまった。 生徒の質問に雪花は素っ気なく答えるばかりであまり多くは知れなかったが、日本生まれだが外国育ちであること、両親は遠くにいること、得意なことは運動...らしい。 緊張して上手く話せないと言っていたがホントだろうかと龍香が考えていると、かおりが話し掛けて来る。 「どうしたの?考え事?」 「え、いや!あー、かおりもう帰るのかなーって!」 意識の外から話し掛けて龍香が驚くが流石に転校生にいきなり顔貸せと言われたとは言えず、誤魔化す。 「あー、そうなのよ。今日私塾だから先に帰るね。んじゃあまた明日。」 「うん。また明日。」 手を振りながら教室から出るかおりに龍香は手を振り返す。そして龍香も荷物を纏めていると、噂をすれば。件の雪花が話し掛けて来る。 「いるわね。ちょっと付き合って貰うわよ。」 「え、うん。っていや!ちょっ、ちょっと良い?」 雪花は何処か強引に龍香を何処かへ連れて行こうとする。だが、身に覚えの無い龍香は雪花に尋ねる。 「初対面なのに私に付き合えって、あなた何処かで会ったっけ?」 「来れば分かるわよ。」 「え、えぇ...」 そのまま雪花に無理矢理連れて行かれ龍香は雪花と共に学校を出る。 そして人気の無い公園までたどり着く。 「この辺で良いかしら。」 「な、何なの...?」 あまりにも急な展開に龍香が困惑してると雪花は近くのベンチに荷物を置く。 「あんたに聞いておきたいことがあるのよ。紫水龍香。」 「え。」 雪花の雰囲気が変わる。その鋭い刺すような瞳に思わず龍香はゴクリと生唾を飲みこむ。 「アンタ...」 鋭い視線を向けたまま雪花が龍香に何かを言おうとした瞬間、ピロピロと何処かから軽快な音楽が鳴り始める。雪花は舌打ちをするとポケットから携帯電話を取り出して通話を始める。 「もしもし。今大事なとこだったんだけど。え?はぁ?ったく...」 雪花は一旦携帯電話を耳から離すと龍香に指を指して言う。 「ちょっと抜けるけど逃げないでよ。」 「え、うん...。」 そう言うと雪花は何処かへと行ってしまう。龍香はポカンとなる。だがちょっとすると立ちっぱなしのもなんなのでブランコに腰掛けて雪花を待つ。 《オマエも随分変な奴に目をつけられたな。》 「そうだね...。」 カノープスに話し掛けられ龍香はハハと笑う。そう言えばと龍香はカノープスに尋ねる。 「そう言えばさ。私、変身した時姿変わるけどアレ後何個あるの?」 《ん?あー、アレは後4つ程あるが...内二つはちょっと扱いが難しくてな...。経験を積むまでお預けだ。》 「へー。じゃあ全部で7つあるんだね。あ、後さ。」 《何だ?》 龍香は少し照れ臭そうに言う。 「変身した後の名前決めない?何かこう...カッコ良さげなの!」 《...オマエの着眼点良く分からんな....》 「私が考えたのはね...魔法少女と恐竜で魔龍少女ってどう?」 《言いにくいな...》 「ダメかなー?」 等とやり取りしていく内に龍香は辺りが暗くなってきている事に気づく。 「暗くなってきたね...。」 《アイツいつまで話し込んでやがんだ...ん。》 カノープスは何かに気づいたようで龍香に警告する。 《気を付けろ。奴らだ。》 「え!?」 龍香は急いでブランコから下りて辺りを見回す。すると目の前の闇から滲み出るように一体の怪物が現れる。 「見つけたぞカノープス。」 《ペルシアンか...》 頭に赤茶色の羽毛を生やし、南米の民族衣装に身を包んだ怪物、ペルシアンがカノープスを睨む。 「初めて会った時から思ったけどカノープス人気だね。」 《昔っから敵対してっから覚えられたんだよ。人気者は辛ェな。》 カノープスは吐き捨てるように言う。一方のペルシアンは両手から紫色にユラユラ光る光弾を作り出す。 「くたばれ!!」 そしてペルシアンは龍香に光弾を発射する。光弾は龍香に着弾して弾け、爆発。龍香を吹き飛ばした...かのように見えたが、光の恐竜に守られた龍香には届いていなかった。そして恐竜が弾け、紫の形態ティラノカラーに変身完了した龍香が現れる。 《おいおい。せっかちは嫌われるぜ。》 「あなたもシードゥスなら!ここで倒す!」 龍香は“タイラントアックス”を構えるとペルシアンに突っ込む。ペルシアンは突っ込んでくる龍香に対して次々と光弾を発射する。 「てあっ!!」 放たれた光弾を龍香は跳躍してかわすと勢いそのまま“タイラントアックス”を振り下ろす。 ペルシアンもその一撃を両腕で防ごうとするが完全には防ぎ切れず大きく体勢を崩す。 「ぬっ!!」 「てあっ!!」 体勢を崩したペルシアンに龍香は強烈なドロップキックをお見舞いする。その一撃を貰ったペルシアンは大きく吹っ飛び木の幹に叩きつけられ崩れ落ちる。 「やった!!」 龍香が喜ぶ。ペルシアンは唸ると崩れるように消える。 《えらいアッサリだな...》 カノープスがいぶかしんだ瞬間。龍香の周りの地面が弾ける。 「うわっ!!」 《何ッ!?》 振り返るとそこには先程消えたハズのペルシアンがいた。 「えっ、何で!?」 「あの程度でやられる俺ではないわ!!」 先程ペルシアンが消えたところを見ると土偶のような土人形が砕けて転がっていた。 「み、身代わり?」 「その通りだ!既に貴様がアルゲティとディアデムを倒したことは知っている。何の策も無く挑むと思ったか!」 自慢気に語りながらペルシアンはさらに光弾を発射する。 「うわわっ!!」 迫り来る光弾を急いで走って避ける。光弾は地面や木に着弾すると弾けて爆発する。 「ならもう一回近づいて...!」 走りながらペルシアンの懐に入ろうとした瞬間、上空から黒い何かが降り注ぐ。死角からの一撃は流石に反応出来ず龍香は黒い何かを浴びて地面に倒れ込む。 「痛ッ...!」 《何だと...!》 上空を見ると何かが飛んでいた。その何かが地面に降り立つ。そいつは鳥のような姿をした怪物だった。 「よくやったぞファクト。計画通りだ。」 「二体一は卑怯なんて言わないでくれよ。これも戦い方だ。」 ファクトは両手に羽状の短剣を三つ構える。恐らく先程はこの短剣を飛ばして来たのだろう。 ファクトはそのまま羽を羽ばたかせ上空へと飛翔し、ペルシアンは光弾を構える。 「い、いきなり二体なんて...!」 《くっ...》 圧倒的不利な状況に龍香とカノープスは歯噛みする。 「さらばだ!カノープス!」 「くたばりな!」 二体が一斉に龍香に攻撃しようとした瞬間だった。上空のファクトに何かが高速で接近する。 「何!?」 高速で接近した何かはファクトに向かって蹴りを放つ。ファクトはそれを腕で防ぐ。だが追撃の手は緩まず、身体を捻ってもう一度蹴りを放つ。今度はファクトの脇腹にクリーンヒットし、大きく吹き飛ばす。 「な、何?」 「なんだと...!?」 突然の介入に龍香とペルシアンが驚いている時だった。 「まだまだ全然素人ね。」 「えっ...雪花...さん?」 そう。そこに現れたのは転校生、雪花だった。 「そこで見てなさい。私が見せてあげるわ...本物の戦い方って奴をね。」 そう言うと雪花は銀のヘアアクセに触れる。 《Awake》 音声が鳴り響き、アクセサリーから光が溢れて輪が形成される。そしてその輪が雪花を包み込み、弾ける。 そこには青と白の装甲に身を包んだ戦士がいた。 《Crush the Night Daybreak!》 「アンタらシードゥスは私がこの手でブッ潰す....!!」 一方上空では突然自分を襲った存在とファクトは対峙していた。そいつはボロを身に纏い、鳥の嘴のようなマスクを着け黒い翼を生やした青年だった。 「なんだオマエ...!」 「オマエを倒す者だ。」 「そういうのを聞いてんじゃねェよ!!」 ファクトはその青年に向かって短剣を投げつける。だが青年はそれを上空へと飛翔して回避する。 「今度は俺から行かせて貰う。」 青年は背中の翼から大量の羽を飛ばす。範囲の広い攻撃にファクトは避けきれず何発か被弾してしまう。 「このッ...!?」 《スパイダー》 ファクトが羽に当たりよろけた瞬間ファクトを白い糸が襲う。白い糸はファクトを完全に捕縛する。 「うおッ!?」 見れば青年のマスクと両腕が蜘蛛の口のような物に変化し、両手から糸を伸ばしている。青年は落下しながらぐるんと空中で一回転すると糸の先にいる拘束されたファクトを地上に叩きつける。 「ゴフッ」 「トドメだ。」 《クロウ》 青年のマスクが再び鳥の形になる。そして翼をはためかせると翼が一気に硬化する。そして急降下しながら硬化した翼を一気にファクトに叩きつける。硬化した翼はまるで刃物のようにファクトの身体を引き裂いた。 「がッ」 青年が地面に降り立つと同時に引き裂かれたファクトは爆発四散する。 青年は爆発したファクトを一瞥すると身を翻して空へと飛翔した。 「このッ...なんだオマエは!!」 突然乱入してきた雪花にペルシアンは光弾を飛ばす。だが雪花は全く怯まずペルシアンに突っ込む。 「はぁッ!!」 雪花は全ての光弾を回避しながら右手にバーストライフル“モルゲン”を構えるとペルシアンに向けて発砲する。放たれた弾丸は残らずペルシアンにヒットし、ペルシアンの身体から火花が散る。 「うおりゃッ!!」 怯んだペルシアンに雪花は回し蹴りをお見舞いし、“モルゲン”の銃床で殴り付ける。さらに追撃で至近距離で撃ちまくる。 「ぐぉあおァッ!?」 「二体一じゃなきゃ素人にも勝てない雑魚が私に勝てると思った?」 ペルシアンは怒涛の猛攻にもんどり打って倒れる。雪花はマガジンを交換しながらペルシアンを挑発する。 「ぐぬぬ、言わせておけば!!」 ペルシアンは光弾を辺り一面に撃ちまくって砂を巻き上げ即席の煙幕を作り出す。煙幕に包まれながらも雪花の目はペルシアンに向けられたままだ。 そして煙幕を切り裂き奇襲気味にナイフを構えたペルシアンが右から雪花に襲いかかる。 「ナメんな!!」 だが“モルゲン”の銃口は既にペルシアンの眉間を捉えていた。銃声が響き、ペルシアンに銃弾が叩き込まれ崩れるように消える。 「気を付けて!!それは身代わり!」 「遅いッ!」 龍香が警告すると同時に逆方向から本物のペルシアンが光弾を放つ。だが雪花は腰部の武装ラックから小型ナイフ状の武器“シャハル”投擲装甲炸裂弾を取り出すと身を捻って光弾を回避しながら投擲する。 雪花が投げつけた“シャハル”投擲装甲炸裂弾はペルシアンの右手に突き刺さると爆発し、右手を吹き飛ばす。 絶叫してのたうち回るペルシアンに雪花は蹴りを入れて仰向けにすると腹部に“モルゲン”の銃口を密着させる。 「チェックメイトよ。」 「待っ」 ペルシアンの懇願虚しく雪花は引き金を引いて全弾をペルシアンに叩き込む。流石に耐えきれずペルシアンは爆発四散してしまう。 「つ、強い...。」 自分達が苦戦した相手をああも一方的に倒す雪花の戦闘力に龍香は戦慄を感じる。 龍香が見つめる中雪花は龍香に振り返ると変身を解く。そして思わず身構える龍香に近づいて言う。 「人来るかもしれないし離れるわよ。早くしなさい。」 「え?あ、はい。」 雪花の言葉に龍香は変身を解く。そして雪花に連れられて戦場となった公園を後にするのだった。 雪花に連れて来られた場所は何処かの家だった。そしてその家の前に一人の青年が立っている。青年は近づく二人に気づくと話し掛けて来る。 「藍。その様子だと首尾よく倒せたようだな。」 「当たり前でしょ?私を誰だと思ってるの?」 「はいはい...で、この子が噂の紫水龍香ちゃんか?」 青年は龍香の向いて尋ねる。 「あ、はい。そうです。」 「俺は黒鳥 飛鳥(くろとり あすか)だ。よろしくな。」 そう言うと黒鳥は握手を求めて手を差し出す。龍香も手を出して握手をかわす。 「あ、こちらこそ....じゃなくて!雪花さん!」 と、交流をかわしたところで龍香は雪花に尋ねる。 「あなた達何者なんですか?シードゥス倒しちゃうし、なんか...強いし。」 「それはいまから来る人に説明して貰いなさいよ。」 「うっ...あ、そう言えば私に聞きたい事って何だったんですか!」 「アンタがクソッタレのシードゥスと戦ってんのか確認したかっただけよ。」 説明するのも面倒と言った具合に雪花は取り合わない。黒鳥はやれやれと額を押さえている。龍香がそれでも尋ねようとした時だった。 「おや。皆揃ってるね。」 聞き覚えのある声。その声の主は家のドアを開けたその先いた。物静かそうな雰囲気を漂わせる男。龍香には見覚えのある人物だった。 「嵩...原先生...?」 嵩原はニッコリと笑うと龍香に向かって言った。 「ようこそ新月へ。歓迎するよ紫水君。」 To be continued... 関連作品 セブンスカラー
https://w.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/pages/2329.html
https://w.atwiki.jp/tokiwa/pages/21.html
シンセティック・ヴァギナ 第三話 美奈II 本当に俺はどうしてしまったんだ? 宿酔いにずきずきする頭を抱えて、俺は溜め息をついた。 あいつがロボットだって事は解りきっている。 ロボットでも構わないのだ……あいつに『心』さえ存在するならば……。 俺には、健気に俺を慕うあいつに、心が無いなんて信じられない。 女性器に至るまで精巧に造られた身体は、人間そのもの、いや人間以上だ。 心さえあるのなら、完璧な美しさとSEX能力を持つあいつは、本当に俺の理想通りだ。 その場合は、あいつがロボットである事など関係ない。 俺も、あいつを愛する事が出来るかもしれない。 どうせ、人間の女には幻滅していたのだ。 だがあいつが、プログラムに従って、感情が存在するふりをしているだけの『人形』にすぎないのなら、そんなものを愛する事などできない。 その事を考えだすと、眠ることも出来なくて、つい昨夜は飲みすぎてしまった。 心を決めるか……。 いつまでも、うじうじ考えていても仕方ない。 今日……あいつに尋ねるのだ。 ※ 昼になった。 今日は土曜日だからこれで放課だ、俺のクラスは小テストがあったので少し遅くなったが、美奈津は待ってくれているはずだ。「あなた……階くんよね? 美奈ちゃんと、一緒に帰ったんじゃなかったの?」 美奈津のクラスに顔を出すと、美奈津の親友である北川夏湖が、俺にそう話し掛けて来た。 北川夏湖は、170cmを越える大柄な女だが、スレンダーな、なかなかの美人だ。きつめの整った顔立ちで、美奈津とはまた違った魅力がある。こんないい女が居たとは知らなかった。 しかし……これは、どういう事だ? 「半田君があなたから伝言を頼まれたって言って……それを聞いたらあの娘、急いでどこかに行ったわよ。だから、あなたと一緒に帰ったとばかり思っていたんだけど……」「それは本当か!!」「ええ……」 俺は、半田にそんなことを頼んだ覚えはない。 これはいったい……。 その時、俺は半田の奴が向こうの廊下を歩いているのを見つけた。「半田!!」 呼び掛けると、半田は俺に振り向いた。「佑也さん。探しましたよ!!」 半田は、俺のパシリみたいなもので、どこか憎めない奴だ。 だが今日は、妙に真剣な表情をしている。「半田、お前、美奈津は……」「佑也さん、その事なんですけど……彼女だけは許してやってくれませんか?」 はあ?……話が見えない。「お前、まさか俺があいつと、付き合うのに文句があるんじゃないだろな?」 俺がそう脅すと、半田はビビって声を震わせながらも、肝を据えて俺に答える。「本気で付き合おうってのなら、俺も文句はいいません。だけど……彼女はそこいらの淫乱女とは違います。あんないい娘でも、俺達にまわしてくれるのは嬉しく思ってますけど……彼女だけは、許してやってくれませんか? 美奈ッちゃんは、ずっと以前から佑也さんの事が好きだったんス。佑也さんの方も美奈ッちゃんの事まんざらでもないみたいだったから、俺、涙を飲んで橋渡しを引受けたんッスよ、それを……酷いッス」「美奈津をお前等にまわす? 誰がそんなことを!!」「誰がって、佑也さんがおっしゃたんじゃ……由紀子さんがそう……」 なるほどそう言う事か……。「半田……俺はな……由紀子とは昨日きっぱり別れたんだ」 そう言って、俺は半田を鋭く睨みつける。「え……それじゃあ……」 蒼白になった半田を、俺は絞めあげた。「半田……言え……美奈津はどこに居るんだ!!」「部室ッス……」 俺は、半田を放り捨てると、軽音楽部の部室へと急いだ。「佑也さん、急いでください……早くしないと、美奈ッちゃんが……あっわっ!」ずでん……。 そう言って半田は派手にこけた。 相も変わらずどじな奴だ。 こんな奴にかかわっている暇はない、今は美奈津を助けなければ。 俺は軽音楽部の部室へと急いだ。 やがて到着した俺は部室の扉を勢い良く開く。 一応、この4年(この学校は6年制なので、高校1年に当たる)をシメている事になっている大川信吾と、その他の奴の取り巻き数人が俺の方を振り返る。「階さん!!」 悲痛な表情で美奈津が叫んだ。 美奈津は、股間を開いたはしたないポーズで両手足を縛り上げられているが、まだ、下着は付けている。どうやら間に合ったようだ。「まさか!? 今日は小テストだって……後、30分はかかるはずじゃ……」美奈津を剥こうとしていた由紀子が、蒼白な表情でそう言う。 俺は、こいつらを鋭くねめつけると、怒りをこめて、わざと抑えた口調で言った。「大川……俺はな、昨日、由紀子とは完全に手を切ったんだ」 俺がそう言うと、大川達は明らかに動揺している。「そ……それじゃあ……」「苦労して落とした本命を、どうしてお前等にまわしてやらなければならないんだ? 由紀子のようなどうでもいい女なら、もうくれてやってもいいがな」 俺がそう言うと、美奈津の表情がぱっと輝く。 俺は美奈津の方に優しくウィンクしてやると、大川を睨み付けた。「すまん……階……」 大川は俺に一礼すると、由紀子の方に向き直り、胸倉をつかんだ。「このくそアマめ、俺達をだましやがって……」「この娘を抱かせてもらえるって聞いたら、ほいほいにやけ顔でついて来たのは誰だったかしら」「くそぉ!!」「やめろ……大川」 言葉に詰まって、思わず手を振りあげた大川を制して、俺は退場を命じる。「大川、俺が決着をつける。お前達はちょっと席を外してくれないか。終わったら、由紀子はお前にくれてやる。落し前を付けた後は、何でもお前の自由にしていいぞ」「解った」 大川はうなずくと、子分達を連れて立ち去った。「残念だったな、由紀子。俺はあんなテストぐらい、10分もあればできるんだ。さあ、美奈津を返してもらおうか?」 憎々しげに俺を睨み付ける由紀子に、射殺さんばかりの視線を向け、俺はゆっくりと近づいて行く。「近寄るな……近づいたら、この女を刺すよ」 どこからか、由紀子はナイフを取り出すと、美奈津に突きつけた。「階さん!!」「しゃべるな……しゃべると刺すよ」 脅されて美奈津は口をつぐむ。 しまった……油断した。 由紀子は残忍な笑みを浮かべると、ナイフで美奈津のパンティを切り裂き、ま○こをあらわにした。「きれいな……ま○こだね。これで佑也を誘惑したんだ……」 由紀子は美奈津のあらわになった、ピンク色のきれいな人造ま○こに、嫉妬と羨望の入り交じったまなざしを向ける。「クリトリスを削ぎ落としてやろうかなぁ? ラビアを切り刻んでやるのもいいわねぇ……」「由紀子!……やめろ!!」 俺がそう言うと、由紀子はさらに憎々しげな表情になる。「佑也ぁ……本気でこの女に惚れてるんだね……ねえ、佑也……あなたが土下座して謝ってくれるなら、許してやってもいいよぉ?」「由紀子、本当だな」「ええ……ほらぁ、やってみせてぇ……」 俺は巧妙に由紀子との間合いを詰めながら、ひざまづく。「階さん……私なんかのために、あなたがそんなことをする必要はありません。私は構いませんから……止めてください」 美奈津は必死の表情でそう言う。 身体を傷つけられても、ロボットである自分は修理可能だ……。 そう言いたいのだろうが、俺はあいつの美しい身体を傷つけたくない。 それに……これで間合いを詰める事が出来た。 由紀子に隙が出来れば、飛び掛かる事が出来る。「すまなかった。由紀子。俺が悪かった」 そう言って俺は額を床に付けた。 顔を上げると由紀子が勝ち誇った表情で笑っている。 バタンッ! その時、突然この部屋の扉が勢いよく開かれた。「美奈ッちゃんは無事ッスか……」 半田の奴だ。 今だ、由紀子の注意がそれた!! 俺は由紀子に飛び掛かり、右手を手刀ではたいてナイフを弾くと,鳩尾に正拳を叩きこんだ。「ぐふっ……」 気絶したのを見届けて、半田に命じる。「こいつを縛り上げろ」 半田はぽかんと口を開けて俺の後方に視線を集中させていた。「あっ……は……はいっ……」 何を見てボッとしていたのか? 半田の視線の先を見て俺は納得した。 そこには秘処をさらしたままの美奈津が居たのだ。 半田の奴、後で覚えてろよ!!「美奈津……大丈夫だったか?」「階さん……」 美奈津はま○こが露になっているのが恥ずかしいのか、もじもじもがいている。 俺は由紀子が落としたナイフを拾って、美奈津を拘束する縄を切って自由にしてやった。 美奈津はぴっちりと股間を閉じて、手で恥ずかしい部分を隠す。 俺がはぎ取られたスカートを渡すと、美奈津は素早くそれを身につけた。「美奈津……おいで……」「階さん……私……私……」 美奈津は俺の胸に顔を埋めて、泣きじゃくった。 こいつに心が無いはずがない……「美奈津……」 あごをつかんで顔を見上げさせると、美奈津は瞳を閉じる。 俺は優しく、こいつの唇を奪った。「あの~、お取り込み中のところ申し訳ありませんスけど……」 半田が俺に声をかける。 気の利かない奴だ。「由紀子を縛り上げやした。もうそろそろ、目を覚ましそうッス」「そうか……。そうだ半田、お前、昨日、ゲーセンのゲームで取ったパンティ、まだ持ってないか?」「おいらにゃ、プレゼントするような彼女は、いませんしね……有りますけど、どうするんッスか?」「美奈津の替えがいるんだ……出せ……」「はい……」 部屋の隅においてあった鞄を漁ると、その中からプラスティックのカプセルに入ったパンティを取り出して来た。「美奈津……これを奥の部屋ではいて来い……サイズはあわないかもしれないが、ノーパンでいるよりはましだろうからな」「はい……」 俺は美奈津が隣の部屋に行ったのを、見届けてから半田に静かに尋ねた。「半田、お前……さっき美奈津のアレを見なかったろうな?」 俺がそう尋ねると、半田は明らかに動揺して答える。「そ……そんな恐れ多い事。もちろん見なかったッスよ……」「そうか……それならいいんだが……。それともう一つ、美奈津がずっと以前から俺の事を好きだった、って言うのはどういう事だ?」 半田はほっとした表情で答える。「ああ、そのことッスか。いえね、美奈ッちゃんが4月に転校して来て一週間ぐらいした時ですかね……。おいらに美奈ッちゃんが、『さっきあなたが話していた人はだれ?』なんて、ほほを染めて話し掛けて来たのは。その時おいらが話してた相手が、佑也さん、あなたッスよ。それから、あの娘はあなたが運動場で体育をしてたら、溜め息をついてそっちを見てたりして、健気にあなたを思ってたんスよ。まあ本人が明言した訳じゃないッスがほぼ確実ッスね……」「そうか……」「しかし……あんな可愛い娘に、そこまで思われてるなんて、うらやましいッスねえ……佑也さんと美奈ッちゃんは、本当に御似合いッスよ」「そうかな」 照れるじゃないか。「後は、あのくそアマの処分ッスね……本当に酷い女だ」「酷い女で悪かったわねぇ……ドちび虫」 目を覚ました由紀子が、憎々しげにはき捨てる。 由紀子はバージンだったころから、ちょっと可愛いのを鼻にかけた、嫌な女だった。 半田もいろいろ酷い目にあわされていたようだ。「由紀子……解っているな? 美奈津にやった事の、御礼をさせてもらう。まずは……」「きゃあぁ……」 俺はナイフを振るうと、パンティを切り刻んだ。 真っ黒に色素沈着した由紀子の局部が、露になる。「しかし佑也さん、いつ見ても汚ねえま○こッスねえ……さっきの美奈ッちゃんの、ピンク色の素敵なのと、とても同じものとは思えないッス」「半田ぁ……お前、さっき見なかったって言わなかったか?」「あっ……しまった……」「まあその事は後だ。おっ、美奈津の着替えが終わったらしいな」「階さん……着替えおわりました……」 そう言って美奈津が、奥の部屋から現れる。「美奈津……いいものを見せてやるよ……こっちに来い」 そう言って、美奈津に由紀子のま○こを見せる。「階さん……いったい何をしてらっしゃるんですか!?」 驚きから立ち返った美奈津は、由紀子を背にかばって、俺を真剣な表情で見つめた。 美奈津が怒っている……。「何って、お前の仕返しをしてるんじゃないか……こいつはお前に酷い事をしたんだぞ……」「そうです……私もさっき階さんに助けられるまでは、こうして身体の自由を奪われ、酷い扱いを受けました……そして、その時……私の心は張り裂けそうでした。そんな思いを、他の人がするのは耐え切れません……階さん……止めてあげてください……お願いします……」「美奈津……俺に逆らうのか?」 そう言いながら、俺は溢れて来る喜びを隠すのにすごく苦労した。 こいつには……美奈津には心がある……俺は確信した。 もしこいつが心の無いロボットなら、俺に逆らう事など有り得ないはずだ。 そして、俺の質問に、美奈津は小さくうなずいた。 不安げな表情で見返す美奈津に、俺は会心の笑みを浮かべて答えた。「お前は……優しいな……お前が、自分から進んで仕返しをするような女なら……俺はここまで惹かれなかっただろう。美奈津……お前に免じて、こいつは許してやる事にしよう」 だが皮肉な事に、この美奈津の行為によってもっとも傷ついたのは、かばわれた当の由紀子だった。 美奈津の優しさは、由紀子の自尊心を粉々に打ち砕いたのだ。「どこまで……ぶりっこしてんだい? 誰が助けてくれって言った? おまえに助けられるくらいなら、死んだ方がましだよ……この偽善者め……佑也、あんたに最後のお願いがある。最初に言った通り、私をめちゃくちゃにするように大川達に命じてくれよ……。こんな偽善者に助けられるくらいなら、その方がよっぽどましだ……。お願いだよぉ佑也……」 美奈津にも、由紀子が本気で、自分に助けられるくらいなら輪姦された方がいいと、思っている事が解ったらしい。「……」 哀しげな表情でうつむいた。「と、言う事だそうだ。半田……大川達を呼んで来てくれ。俺はこいつを送って返る」 半田は鬼の首でもとったような顔で、美奈津に言う。「美奈ッちゃん、解ったろ? こいつは美奈ッちゃんみたいなまともな女の子とは、違う人種なんだ……慎みとかそう言う感情は全く存在しない、とにかく欲しいのは快感だけなのさ……」 大川達が、下品な笑みを浮かべながら入って来たのと入れ違いに、俺は美奈津の肩を抱いて、部室の外へ出た。 ※ 「ああ良かった。美奈ちゃん、階君と会えたのね……」 昇降口で靴に履き替えようとした時、北川夏湖が、俺達を見つけて話し掛けてきた。「夏っちゃん……」 二人で仲睦まじくしているのを見られたのが恥ずかしいのか、美奈津がほほを赤らめる。「ああ。どうやら半田の奴が勘違いしたみたいでな、部室で待ってたこいつを、いまやっと見つけたんだ。さっきはありがとよ……」「そっか……でも、本当に仲いいんだね、妬けちゃうなあ……だけど階君、こういう娘がタイプだったんだね、知らなかったなあ……」 この北川夏湖とは初めて会ったはずなのに、そんな気がしない。どこかで、見た事が……「あっ……北川先輩じゃあ……」 思い出した……1年半ほど前、俺がまだ2年生だったころ、交通事故で重傷を負い、アメリカへ治療のため渡っていた、一つ上の先輩だ。俺は学生会で世話になった事がある。「階君、もしかして私の事忘れてたの? 薄情ねえ……。それに、私、今はもう同学年なんだから、先輩なんて付けなくていいわ……」「それじゃあ、北川さん……こう呼ばせていただきます。でも、身体良くなったんですね、良かった……」 俺の言葉に、北川夏湖は一瞬、哀しげな表情をした。「あっそうそう……美奈ちゃん。これ……落としてたよ。大切なものなんでしょ……はい……」 そう言うと、北川夏湖は美奈津に、小さなお守り袋を渡した。「夏っちゃん。ありがとう」「どういたしまして……あっと、これ以上邪魔しちゃ悪いわね。それじゃあ、お幸せに……」 そう言って笑って去って行く。「夏っちゃんたら……もう……」「そうか……北川さんが戻ってきてたのか……」「あの……階さん? 夏っちゃん、いえ北川さんが、身体を壊して留年してたって事は知ってたんですけど、どこが悪かったんですか?」「そうか……美奈津は知らなかったんだな。彼女は1年半ほど前、交通事故に遭って重傷を負ったんだ。一時はかなり危険な状態だったらしいが、アメリカで治療を受けて、あそこまで回復したらしい」「そうだったんですか……それで、体育とかは休んでたんですね……」 そうか……かなり良くなったように見えるが、まだ後遺症に苦しんでいるんだ。 それが、さっきの哀しげな表情の意味だろう。「それじゃあ美奈津……いこうか?」「はい……」 それから数分の間。俺達は無言で歩いていった。 俺は、人通りが少ない通りに入ったのを確認すると口を開いた。「美奈津……今日はすまなかったな……俺の注意不足であんな目にあわせてしまって……」 俺がそう言うと、美奈津は小さく首を振った。「私は……いいんです……私は、モノ、ですから……ですけど由紀子さんは、人間です……そして、彼女は階さんの事を、本当に愛してました……私……馬鹿でした、私にかばわれる事で、彼女がどれほど傷つくか、解ってなかったんです。そして私は、彼女が言ったとおりの偽善者です。こうして階さんが、彼女よりも私を選んでくれた事を、本当に嬉しく思ってるんですから……私……私は……」「美奈津、もう由紀子の事などもう気にするな。あいつには悪いが、俺はあいつのことなど、なんとも思っていない。俺が今、関心のあるのはお前だけだ」「階さん……ですけど……」「美奈津……俺はあいつに最初から遊びだと明言してきた。それを今更俺の事を好きだといわれても、どうしようもないだろ?」「階さんにとっては遊びでも、由紀子さんにとっては違ったんです。たとえ相手にとっては遊びでも、愛する人に抱いて欲しかったんだと思います。私には……その気持ち、良く解ります」 そういって、少し哀しげにうつむく美奈津を俺はそっと抱き寄せた。「それは……お前もそう思っているってことか? 半田が、お前は俺が手紙を出す以前から、俺の事を想っていたように見えた、と言っていたんだが、お前が俺の所有物になったのは、ロボットである事がばれたためじゃなく、俺を愛していたからなのか?」 俺の言葉に美奈津は驚いて顔をあげた。「解りません……私には、解らないんです!……私……階さんの事を心から愛していると信じたい……ですけど……御存じの通り私は人間ではありません……私が心だと思っているものは幻かもしれません……階さんは、どう思いますか? 私に心があると思われますか?」 そう……だったのか……。 美奈津自身も自分に心があるかどうか悩んでいたのだ……。 んっ? 悩んでいたって……。「美奈津……お前にはちゃんと心があるさ……俺が保証してやるよ」「階さん……本当に?」 ぱっと顔を輝かせた美奈津に、俺は優しく微笑みかけてやる。「ああ、証拠もあるぜ。美奈津、もしお前に心がないとしたら、どうやって自分に心があるかないか悩めるんだ? そういう悩みがあるって事が、お前に心があるという確かな証拠じゃないか? 本当にお前は馬鹿だな」 俺がそう言うと、美奈津はにっこりと会心の笑みで微笑む。「本当ですね……階さんのおっしゃる通り、私って馬鹿みたいですね……」「美奈津……今からお前の家に行っていいか?」 俺がそう言うと美奈津は、ほほを染めて嬉しそうに微笑む。「はい……階さん……」「そう言えば美奈津? さっき、北川さんから受け取ったお守りは何なんだ?」「これは……」 美奈津は困ったような表情をして口篭る。「見てみたいんだけど……だめかな」「階さんがおっしゃるなら、仕方ありません……どうぞ……」 美奈津が手渡した、お守り袋を開けると、プラスティックで出来た、玩具の指輪が出てきた。 これは……? 何の変哲もないそれは、何かを俺の心に訴えかけてくる。「美奈津?……この指輪は……」 その時、俺に心の中に、忘れていた記憶がよみがえってきた。「美奈津……美奈?……美奈ちゃん?……」 目の前の美奈津に、幼いころ遊んだ、ある少女の面影が重なった。 思い出した……辛くて、忘れていた記憶を。 藤澤博士の本当の娘、藤澤美奈に関する思い出を。 幕間……幼きころの記憶 「美奈ちゃんよ……佑也、ごあいさつなさい」「うっす」「佑也、ちゃんとごあいさつなさい」 祖母にせっつかれて、幼き佑也は無言で頭をさげた。「さっ、美奈、こちらが佑也くんよ、ごあいさつなさい」 美奈も母にせっつかれて、口を開く。「……はじめまして……。私、美奈っていいます。よろしく……おねがいします」 人見知りするタチなのか、美奈は真っ赤になって、それでも、小さな声で必死にそう言うと、ぺこんと頭を下げた。「これ、佑也。美奈ちゃんはちゃんと挨拶できるのに、あなたはどうして出来ないの? きちんと挨拶なさい」「うっす。僕、佑也」 むすっとした表情で、佑也が言う。「もう、ほんとにおまえって子は……美奈ちゃんが可愛いから照れてるんだね?……そうね?」 祖母がそう言うと、佑也はずいっと美奈に近づく。 佑也にじろっと睨みつけられて、美奈はびくっと脅えた。「たしかにかわいいけど、僕の好みじゃないね……僕、暗いコはきらいなんだ」 佑也がませた口調で言う。「これ、佑也。もうどうしておまえって子はそんなにひねくれた事を言って……ごめんなさいね、美奈ちゃん。佑也はあなたがかわいいから照れているのよ、気にしないでね……」「照れてなんかいないよ……本当のこと言ってるんだよ……だって僕、このコとコンヤクってやつするかもしれないんだろ? そして、コンヤクってやつしたら大人になったらケッコンしなきゃいけないんだろ? この前、横田のおじさんが言ってたよ、好きでもないのにケッコンしたら、一生こうかいするって……だからこういうことは、はっきり言わなきゃ」「佑也、どこでそんな事……」「この前、ばあちゃんと由佳さんが話してたの聞いたよ。由佳さん僕をほめてくれててとっても嬉しかったけど、やっぱり好きでもないコとケッコンするのヤだ」「佑也くん、じゃあ佑也くんは、どんな女の子が好みなの? おばさんには教えてくれるよね?」 美奈の母親、由佳がしゃがんで、佑也と視線をあわせて聞いた。「明るくて……優しくて……由佳さんみたいな人がいいな……・それから由佳さん、由佳さんてまだ若くてとってもきれいなんだから、自分で『おばさん』なんて、言っちゃだめだよ」 佑也の言葉に由佳と君江は顔を見合わせて笑った。「もう……佑也くんっておませさんね……・あなたって絶対大きくなったら、女の子にもてるようになるわよ……男前だし、勉強もできるし、運動もできるし、お世辞まで心得てるもんね……」「オセジなんかじゃないよ、本当に由佳さんってすてきだよ……胸も大きいし」「こら! 子供がそんなこと言うんじゃないの!! 本当におませさんね、それなら、佑也くん、今、美奈を振っちゃっても良いのかな? 後、十年もすれば、この娘だって胸が大きくなるわよ。顔立ちだって私の小さいころにそっくりだから、大人になれば私そっくりになるだろうし……それから後悔しても、知らないんだから……」「ほんとう?……ほんとにこのコも、由佳さんみたいになるの?」「ええ、私の娘だもん。保証書書いてあげてもいいわよ」「ま、かわいいのは確かだもんね……横田のおじさんも、女の子をダイイチインショーだけで、判断しちゃいけないっていってたし……」 そう言って、佑也はもう一度美奈を、まじまじと見つめた。 今度はさっきみたいな怖い目じゃなかったので美奈は脅えなかったけど、あまりまじまじと見つめられたので、ちょっと恥ずかしくなったようだ。「あらためて見ると、ほんとにかわいいや、おとなしい女のコっていうのもいいかもしれないし……ごめんね、さっきはひどいこといって、僕、佑也って言うんだ、君は美奈って言うんだよね、美奈ちゃんって呼んでいいかな?」 そう言って佑也は美奈に、にっこりと微笑みかけた。美奈もつられて思わず微笑む。「はい……あの、わたしは佑也さんってよんでいいですか?」 美奈が耳まで真っ赤になって小さな声で言う。「うん、もちろんいいよ。声もすごくかわいいね。よし……決めた。僕、君とコンヤクしてもいいよ……。由佳さんも好きだけど、横田のおじさんが由佳さんはヒトヅマだからだめだって言ってたし……。それに、君みたいなかわいいコはめったにいないし、おおきくなったら由佳さんみたいになるって、由佳さんもホショーしてくれたから……美奈ちゅん、いいよね?」 美奈は意味も解らずコクンとうなずいた。 友達になろうって言われたのだと思ったのだ。「それじゃあ、いいものあげるから目をつむって……」 佑也のことばに、美奈がすなおに目をつむる。 佑也はすっと美奈のくちびるに、自分のそれをかさねた。「佑也くん!! あなた、なにしてんの! もう……本当に凄いおませさんね。でも佑也くん、キスしたからにはちゃんと責任取ってもらうわよ?」「セキニンって?」 聞き返す佑也に由佳は悪戯っぽく笑って見せる。「美奈と本当に婚約してもらうってこと。いいわね?」「うん。男にニゴンはない……です」「ぜったいよ!!」 そして数日後……「美奈ちゃん……左手を出して……」 美奈はいわれたとおりに、可愛らしい手を佑也に差し出す。 佑也はおもちゃの指輪を取り出すと、その薬指にはめた。「佑也さん……ありがとう」「お礼はいいよ、これは男のセキニンってやつだから……横田のおじさんに教えてもらったんだ。コンヤクしたのなら、あいての女のコに、指輪を贈らなくちゃいけないって……ほんとは、だいやもんどとか、ニジュウヨンキンとか、高い指輪を贈らなくちゃいけないみたいなんだけど、僕の今のカイショーではそれでめいっぱいなんだ……それでも十日もばっちゃんの肩たたきをしなきゃならないんだよ」 美奈は、いわれた言葉の意味はあまり解らなかったみたいだけど、本当に嬉しそうに微笑んだ。 しかし、それが、佑也が美奈と会った最後……だった。 話は、いま、に戻る……「美奈津……君は……いったい……」「階さん……思い出されたんですね……」 少し哀しげに……美奈津が笑う。「君は……美奈なのか?」 俺の質問に、美奈津はかぶりをふる。「私は美奈津……美奈さんとは別の存在です……ただ……私は美奈さんの記憶を受け継いだだけ……亡くなった美奈さんの脳から記憶を取り出して、私のAI回路にリンクしたんです。身体が出来上がるまで、10年の間、私は仮想現実空間で暮らしていました。その間……ずっと私、階さんの事を想ってきました。そのころ、私は自分を美奈さんだって、信じて疑いませんでした。無邪気だったんですね……。身体が出来上がったら、階さんが迎えに来てお嫁さんにしてもらえるって信じてたんですから……。やがて……私は本当の事を知りました。私という存在が、本当はお母さんがプログラムした電子回路にすぎなかったのだって事を……。この記憶が私のものではないという事を……階さん……本当に、私には心があるのでしょうか……それとも……あなたに対する、この切ない想いは幻なんでしょうか……」 ぽろぽろと涙をこぼす美奈津が愛しくなって、俺は力強く抱き寄せた。「美奈津……おまえのAI回路の設計図と、ソースコードを、見せてくれないか……確かめられるかもしれない……」 美奈津は俺の言葉に、小さくうなずいた。 ※ 美奈津の家の応接室で、自分の鞄から携帯コンピュータを取り出し、データディスクを取りに行った美奈津を、俺は待った。「この中に私の身体について、すべてのデータが収められています」 やがて現れた美奈津に手渡されたディスクを携帯コンピュータに入れた。 沢山あるファイルの中から、AI回路に関するものを検索すると、メモリ上に展開する。 まずはAI回路の設計図だ……。 携帯ターミナルのモニターに映しだされた内容を見て、俺は溜め息を付いた。 美奈津のAI回路は、ごく一般的なものでしかなかったのだ。 いや……ハードウェアではない、ソフトウェアの方が問題なのだ。 そう言い聞かせて俺は、新たにウィンドウを開いて、AI回路のプログラムリストを表示させる。 ん? これだけか? 膨大な量があるだろうと予想していたプログラムは、ウィンドウを画面に最大化すれば収まってしまう程の量しかなかったのだ。 美奈津のような複雑な反応を、これだけのプログラムで実現するのは不可能だ。 ということは……まてよ? 「美奈津……本当にお前のAI関連のデータはこれだけなのか?」「はい……そのはずですけど……」 美奈津は俺の質問に答えると、哀しげに顔をうつむかせた。「やっぱり……私は……心のないロボットにすぎないんですね……」「違う……美奈津……お前に心があるにしろ、ないにしろ、これだけのプログラムでは、お前にこんな複雑な反応をさせるのは不可能なんだ。まだ、他にもあるはずなんだが……」「いいえ……それだけのはずです……後は頭部に記憶を、左胸の内部に学習内容を、それぞれ格納するメモリがあるだけです」「美奈津……その内容を見る事は出来るか?」「はい、接続ケーブルで、階さんの端末機と、私の身体をつなげば可能なはずです」「それじゃあやってみよう……」「はい……」 美奈津はうなずくと、恥ずかしげに制服の前をはだけ、白いおなかをあらわにする。 へそに指を差し込んで左右に引くと、腹部が観音開きに左右に開いて、複雑な内部のメカニズムがあらわになる。 俺は、自分の端末機からケーブルを引っ張って、美奈津のネットワーク端子に接続した。 美奈津を制御するためのOSを介して、学習データを端末にコピーしようとする。 なんだ……これは……。 美奈津のAIの学習データを、端末にコピーするのは不可能だった。 美奈津のAI学習データは、何千万個の独立素子が連結し、その動作内容を相互にフィードバックしあう、完全な並列システムだったのだ。 これは……ニューロコンピュータだ。 俺は笑った。会心の笑みで。 美奈津には心がある。100%心がある。「美奈津……お前には心が存在する……あれだけしかプログラムが必要ないのは当然だ。完全に心がある存在に対して、どんなプログラムが必要だというんだ?」「階さん……本当ですか? 私……私……」「ああ……美奈津、お前には通常のAI回路の他に、感情回路とでもいえるものがあるんだ。それは藤澤博士によってプログラムされたものではない、10年間かけて育てられたものだ、お前の仮想現実環境での生活は、身体の完成を待つためではなく、感情回路を育てるためのものだったんだろう」 美奈津は俺の言葉を聞くと、会心の笑顔で、そっと自らの左胸に手を添えた。「階さん……私、今なら言えます。心からあなたを愛していると……」 その美奈津の心からの愛の告白に、思わず胸が切なくなる。 だが、照れ隠しに俺はつい美奈津に意地悪な事を言ってしまう。「心があるといっても所詮おまえは作り物、ロボット人形に過ぎない。こうして腹を開けば、内部の機械仕掛けが丸見えだ。いくら人間そっくりに造られていても、心があっても、おまえは人間じゃない。おまえが俺を愛していようがいまいが、俺の所有物であるおまえは、俺の命令に必ず従わなければならない」 その俺の意地悪な言葉に、美奈津は健気にうなづく。「はい……階さん。心も身体も、私のすべてはあなたのものです。階さんのためになら私、どんなことでもいたします」 俺は、そう言って微笑む美奈津の拡張端子からケーブルを引き抜くと、露出している美奈津の腹部の内部メカを見つめた。 内部のギミックを見られるのが恥ずかしいのか、美奈津はほほを真っ赤に染め、左右に開いた腹のカバーを閉じようとする。「閉じるな、おまえのロボット仕掛けをもう少し観察してやるからそのままで居ろ」 そう言って美奈津を制すると、俺はゆっくりと美奈津の露出した内部メカの上に視線をさまよわせた。「おまえはよく出来たロボットだが、目新しい技術は使われていないな。こんなに人間そっくりに造られているおまえの身体に、まさかガソリンエンジンや歯車が使われているとは思わなかったぞ」 俺がそう言うと、美奈津は哀しげに瞳を伏せ、恥じ入るように身体をこわばらせた。「どうした? そんなに俺に内部の仕組み……機械仕掛けの本性を知られるのが、嫌なのか?」 俺の言葉に美奈津は首を振ったが、表情がそれを裏切っている。 ロボットであっても人間と変わらない心を持つ美奈津は、機械仕掛けの自分の身体に対して、コンプレックスを抱いているのだろう。 俺はそんな美奈津に、意味ありげな笑みを浮かべて笑いかける。「美奈津、おまえ、こんな機械仕掛けのロボットでなく、人間として生まれたかったなんて思っているんじゃないだろうな?」 俺の質問に、美奈津は哀しげにうつむき、口ごもってしまう。「どうなんだ、美奈津。俺の質問には必ず正確に答えろ。これは命令だ」 俺がそう命じると、美奈津は小さくうなづく。「はい……」「人間の女だったなら、俺の本物の恋人になれたかもしれないなんて思っていたんだろ? 違うか?」「…………」 無言でうなづいた美奈津の身体を、俺は柔らかく抱きしめ、唇を奪う。「んっ」 短く熱い口付けを終えると、俺は美奈津の耳もとにそっと囁いてやる。「馬鹿だな……おまえは。もしおまえが何の取り柄もないただの人間の女なら、俺はおまえを、歯牙にもかけなかっただろうよ。それでも、おまえは人間として生まれたかったと思うか?」 俺がそう言うと美奈津は、はっと顔をあげた。「よく考えてみろ。由紀子はもちろん人間だが、俺は今日、あいつでなくおまえを、ロボットのおまえを選んだ。理由は簡単。おまえの方が俺の好みにあっていたからだ。美奈津。パンティを脱いで、ま○こが良く見えるように、ソファーに座って足を大きく開いてみろ」「はい」 俺がそう命じると、美奈津は羞恥にほほを染めながらも、パンティを脱ぎ、俺が命じた通りにソファーに座って足を開いた。 薔薇のつぼみのような、愛らしい人造ま○こがあらわになる。「こうして、ま○こに至るまで精巧に造られたおまえのボディは、人間そのもの、いや、人間以上だ。人間では到底不可能な完璧な美しさを持っている。おまえも由紀子の黒々としたま○こを見ただろう。それに比べておまえの人造ま○この、この美しさはどうだ?」「階さん……私……わたし……んっ」 恥じらいながらも嬉しそうに微笑む美奈津と、もう一度短いキスをかわし、抱き寄せながら、股間にそっと指を差し入れる。「はあ……はあ……はあ……はあ……」 弱い部分を巧みにいじられて、うっとりとほほを染め、吐息を乱れさせた美奈津の耳元に、甘い言葉を囁いてやる。「そして、感度も反応も人間以上、女としての性能も完璧だ。美奈津、容姿も性格も、おまえはすべてにおいて俺の理想通りだ。美奈津……おまえにひとつ、重大な命令を与える。おまえは、今から俺の本物の恋人として振る舞うこと。期限は、俺がおまえに飽きるまでだ。解ったな?」「階さん……私で……こんな機械仕掛けの私で、本当に良いんですか?」「機械仕掛けのロボットだからこそいいんだ。俺にとって恋人とは支配する対象であって、決して対等な存在ではない。ロボットだからこそ、俺はおまえのすべてを支配する事が出来る。人間以上に美しいおまえの身体を自由に制御し、俺の望むままに操る事が出来る。そして、いくら心があっても、ロボットであるおまえは、人間と対等に付き合う事は出来ないんじゃないか? おまえも愛する俺に、すべてを支配される事を望んでいるはずだ。違うか?」「はい……階さんのおっしゃる通りです。いくら心があっても私は、他人に所有され支配されるために造られたロボットです。階さん。私を……この機械仕掛けの私のすべてを支配してください」「よし。今から俺はおまえを恋人として支配し、そして愛してやる。おまえは、ロボットとして備えられたすべての機能を使用して、俺に仕えるんだ。いいな?」 俺がそう言うと、美奈津は心から嬉しそうに、会心の笑みで笑った。「はい……不束な私ですが、どうぞよろしくお願いします。階さん。何なりとご命令下さい」 健気な台詞に胸が熱くなる。股間に添えた手を、少し激しく動かしてやる。「あっ……ふっ」 羞恥にほほを染めながらも美奈津は嬉しそうによがり声をあげる。「どうだ。気持ちいいか?」「はい……とっても、とっても、気持ちいいです。階さんにこうして大切な部分をいじってもらってるなんて、本当に夢みたいです……」 美奈津はそんな可愛い事を言う。「夢じゃないさ。おまえが望むならいつでも、この敏感な人造ま○こを可愛がってやる。俺も、おまえがこうして悦ぶ姿を見るのは好きだからな」 既に美奈津の股間は熱く火照り、その中心部の穴からは、甘い蜜が漏れてきている。「あっ。ああんぅ!」 指をその穴の奥に差し入れてやると、美奈津は小刻みに身体を震わせ、はしたなく声を上げた。 ぴゅわっと奥の方から、愛液がほとばしり俺の手を濡らす。 ぐいっ……かちりっ……。「あっ。ああんっ!」 びくびくんっ!! ウィーン……カチャン……。 クリトリスのスイッチを押してやると、美奈津は、人造ま○この内部から機械音を発して、激しく身体を震わせる。 全身から力を失い、俺の胸に顔を埋めて、せつない吐息を漏らす。「はあ……はあ……はあ……はあ……はあっ!」 ぷしゅうぅぅぅぅぅ~。 お尻から勢いよくガスが漏れ、美奈津は羞恥に顔を手で覆ってしまう。「クリトリスのスイッチを押しただけでこんなに感じて、ガスまで漏らしやがって。おまえは本当に恥ずかしい女だな」「階さん……ごめんなさい。ご不快な思いをさせてしまって……・」「馬鹿だな、誰も不快だなんて言ってないだろ。こんなに俺を感じてくれて、嬉しく思ってる。褒美に、もっとおまえを気持ち良くさせてやろう」 そう言って俺は、左腕を美奈津の腰にまわし力強く抱き寄せ、乱暴に唇を奪った。 第三話 完 第四話はずっと鋭意執筆中(泣)